パートナーシップ証明書ってなに?

2015年はLGBTの観点から、大きな動きが数多くありました。国際的には、6月に同性婚が全米で合法化されたことが、最も大きなニュースだったと言えるでしょう。

日本でも、渋谷区が全国に先駆けて、同性カップルのパートナーシップ関係の証明書の発行を決めました。渋谷区のパートナーシップ証明書のニュースは、大きく取り上げられて、深く印象に残っている人も多いでしょう。

しかし、ニュースだけではパートナーシップ証明書がどのようなものなのかピンと来ないかもしれせん。そこで、パートナーシップ証明書とはどのようなものなのか見ていきましょう。

他人からパートナーへ

パートナーシップ証明書とは、渋谷区では「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」を根拠に、同性カップルにその関係を区長が示した証明書です。

異性のカップルは、例え何らかの事情や心情で婚姻届を提出していなくても、事実婚という状態を選択できます。事実婚は、裁判でも婚姻に準ずる関係と認められており、年金や健康保険のような社会保証、配偶者としての権利や義務に関わる規定があります。

いっぽうで、同性カップルは、この事実婚が認められていませんでした。共同生活をして、婚姻状態と全く変わらないのに、同性カップルというだけで恋人、つまりは他人とルームシェアしているだけというのが社会的な評価だったのです。

しかし、渋谷区の条例を始めとしたパートナーシップに関わる規定は、パートナーシップ証明書を持つカップルへ、渋谷区内の事業者に正統なパートナーとしての配慮をするように求めたもの。例えば、同性カップルでは社会的には赤の他人なので、入院の際に緊急の連絡でパートナーの勤務先に連絡しても、面会させてもらえないことがありました。こうした戸籍上他人だからという理由で、同性カップルを家族として扱わなかったら、区が事業者名を公表することもできます。

具体的にどんな変化があるの?

先ほども説明した通り、同性カップルの関係を区が証明したのがパートナーシップ証明書です。証明だけなので、結婚のように義務や権利が生まれるわけではありません。あくまでも、事業者や社会に向けて、籍を入れていなくてもカップルなので、夫婦のようにできるだけの配慮をするようにというメッセージが込められているだけなのです。

そのため、法で定められている配偶者控除のような、法的な配偶者や家族としての税制度は利用できません。しかし、一般企業は渋谷区や世田谷区の発表を受けて新たなサービスを発表しました。例えば、docomoとKDDIは、パートナーシップ証明書などを根拠に、家族サービスが受けられるようになりました。ちなみにSoftBankはもともと、同じ場所に住んでいれば家族サービスが受けられました。生命保険や住宅ローンも企業が認めればパートナーとしての扱いを受けられます。

世田谷区と渋谷区のパートナーシップ証明書の違い

また、パートナーシップ証明書の発行にいち早く乗り出した世田谷区と渋谷区ですが、世田谷区は要綱、渋谷区は条例でパートナーシップ証明書について定めています。条例は議会を通さなければならない法令に分類されるので、渋谷区は同性カップルに関してより踏み込んだ革新を行ったように見えます。

しかし、それゆえに証明書を発行するためには、世田谷区よりも厳しい制限があります。渋谷区は、同性カップルが結んだ公正証書の提出が必要です。この公正証書は2種類必要で、およそ8万円の費用が必要な上に、証明書発行までに1週間かかります。つまり、同性カップルだからお金がかかり、1週間待たなければならない状況になるのです。

いっぽうで、その地域の役所の公的手続きについての規則となる要綱である世田谷区のパートナーシップ証明書は、法令ではないものの、その場で発行されます。公正証書も必要ないので、渋谷区よりも革新的とする見方もあります。

渋谷区の動きをきっかけに、横浜市、三重県伊賀市など、パートナーシップに関わる条例や要綱に関する動きが続いています。この動きがもっと広がって全国レベルになることを切に願っています。いっぽうで、同性愛は異常、生産性がない、少子化が加速するなどという発言も多く、良くも悪くもLGBTやトランスジェンダーに関する意識か高まった年と言えるかもしれません。