トランスジェンダーにまつわる新たな言葉

LGBTは、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの頭文字を示しています。アメリカが発祥で、日本では1990年から使われ始めました。セクシャルマイノリティのコミュニティーに属する人たちが、自分たちの呼び名として使い始めましたが、最近ではアメリカでLGBTに関する新たな言葉が出てきました。

新たなワードTBGLとは

LGBTを待った逆さまにしたTGBLという言葉がアメリカで流行しつつあります。TGBLは、Transformed By God's Love(神の愛によって変身させられた)という意味。LGBTという異常な考え方を神の愛によって捨て去り、体の性別に基づいた、本来の男らしさや女らしさを取り戻したという意図があります。

ここで言う神とは言わずもがな、欧米諸国の文化や倫理と密接に繋がっている、キリスト教のイエスです。キリスト教は、子供を生むことができない同性愛には厳しい意見を持っていました。

しかし、現実問題として、キリスト教徒全員が異性愛者というわけではありません。現代はトランスジェンダーの認識が広まり、同性愛者にもフランクな教会もありますし、トランスジェンダーの牧師もいると言います。キリスト教徒のトップ、現在のローマ教皇、フランシスコ法王は話題にすることも避けられていたトランスジェンダーについて積極的に発言します。ローマ教皇自身がLGBTに貢献したとして表彰までされているのです。

ところが、やはり頑なに同性愛を認めないキリスト教勢力はいます。そもそも、キリスト教では同性愛を認めないと聖書に明記してあるので、厳格なキリスト教徒は同性愛を認めることができないのでしょう。そこで、キリスト教の教えに則って、LGBTやポルノを不道徳として認めないと主張する宗教団体の、デイヴォン・ジョンソンがLGBTは後ろから読むとTBGLになると主張を始めたのです。

初めは注目されていませんでした。しかし、2015年にチェルシー・レガという女性が自身の持っていたいかにもレズビアンな男らしい服を処分して、女性らしい服を買うために募金を募ったことで、流行の兆しを見せました。彼女は同性愛者と言ってはいませんが、自分の中の女性らしさを改めて大切にしたくなったと話しています。TBGLの考え方が広まるにつれて、LGBTとTBGLのどちらが正しいのかという論争がまきおこるかもしれません。

新たな英語の敬称、Mxとは

日本語の敬称は成人になれば、~さんや~君が最もメジャーですが、英語圏では結婚するかしないかで女性の敬称が変化するのは有名ですね。既婚者の女性はMrs.(ミセス)、独身女性はMiss(ミス)と区別して呼ぶのが一般的でしたが、現在では失礼にあたるというのをご存知ですか?男性は結婚してもしなくてもずっとMr.(ミスター)なのに、女性だけ呼び名が変化するのは差別だという意見が出てきたのです。

そこで現在ではこれらの敬称はできるだけ避けられ、女性全般の敬称となるMs.(ミズ)を使うのが一般的になりました。ただ、これで対応できるのは、自分を女性と自覚している女性だけなのです。性別にとらわれたくない人はMr.やMs.も使いたくないでしょうし、逆に同性と結婚した女性や、女性となった男性はあえてMs.やMrs.を使いたい人もいるでしょう。

そんな場面に対応すべく作られた新たな敬称がMx(ムクス)です。1970年代には既に考案されていましたが、長い時を経て英語辞典の掲載が考慮されはじめました。実際に使う場面となると、個人情報を極力明かしたくない、性別で人を分けることに賛同できない、男でも女でもない生き方をしたいというケースがあるでしょう。トランスジェンダーだからといって、必ずMxと名乗るものというような決めつけは、逆に失礼にあたるので注意してください。

たかが言葉、実際は何もかわっていないように見えるかもしれせん。しかし、言葉は新たな概念や定義を決定づけるものです。そこに名前をつけることによって、それがどういうものなのか細かく決まり、普及にも大きな影響が出ます。自分がどう呼ばれたいのかを考えることは、どうなりたいのかを考えるうえで重要な要素だと言えるのです。